だが断る。

近所にある本屋のBGMにものすごく腹が立つ。

妙に音量デカいし、いつも同じ曲だし。

すげえ気が散る。

本のセレクトに全力投球してんだから、まったくこだわってない選曲で僕の思考に変な色つけないで欲しい。

……なんてこと店員にはいえないから、カナル型のイヤホン耳栓代わりにしてます。

今日はこの本。

■ アラン・シリトー『長距離走者の孤独』
もう一回ちゃんと過去の名作読み返さなきゃキャンペーン第一弾。短編集なのでサッと読めます。サッと読めるけどハートにグッとくるぜ。主人公スミスは『ジョジョの奇妙な冒険』第四部の岸辺露伴みたいなヤツです。そして『長距離走者の孤独』は、最高の「だが断る」物語。自分で強いと思っているヤツにNOを突きつけるカタルシス。さすがスミス、僕にできないことを平然とやってのける。そこにシビれる。あこがれる。昔読んだときはスミスと尾崎豊に類似性感じたものですが、今読むと全然違うじゃねーかと。もっとシャキっと読みこめよ過去の僕!!

バイク盗んで走り出したり、夜の校舎窓ガラス割ってまわったりするのはただのストレス解消。

高尾山ハイキングと並列だ。

しかも、「自由になれた気がした」だけで、自由になったわけじゃないんだよね。

なんだかんだでキチンと学校卒業しちゃってるし。

尾崎豊の歌はめちゃめちゃリアルだな。だから共感されるのか。

……ちなみに、自由になれた気がした一夜を終えると、大抵の場合、数日中に警察官が迎えにきます。状況によってはパトカーで。

 本当に自由になれるかどうかはそこで試されるね。

で、自由になりたかったはずなのに、しおらしい顔して反省しているそぶりをみせたり、留年免れるために死ぬ気で追試頑張ったり。

あーあーあー、それ17歳の僕だ。

しょせん僕は、「せかいのはんぶんをおまえにやろう」とささやく竜王に「いいえ」と返すのが精いっぱいの小物。

なんなら初回プレイ時は「はい」選んだからね。

ついでにいうと、ビアンカとフローラなら絶対にフローラ。

それが僕の処世術。

おかげで今日もご飯がうまい。

糸巻き戦車。

ひとりでスタバに入れません。

スタバに限らず、あんな形態のコーヒー屋全般厳しいです。

ファミレスもダメ。

自意識過剰だから店内でどう振る舞っていいのかわからない。

だから、「ちょっと時間つぶしててくれる?」ってのがニガテです。

大抵の場合ずーっと歩いてる。

1時間つぶしたい場合は30分前進して、そのままきた道を引き返す。

これできっかり1時間。

結構疲れるから遅刻しないでほしい。

……今日読んだ本ははこちら。

■ 上田早夕里『ショコラティエの勲章』
《お菓子をめぐる人間模様と菓子職人の矜持を描いた連作》文字通りスイーツ小説。サラッと読めてまずまず面白かったです。読んでるととにもかくにもチョコ食べたくなる。コンビニやファミレスで手軽にゲットできるようなものではなく、超絶濃厚なガトーショコラやイケナイお薬並の末端価格でデパ地下にならんでいるボンボン・ショコラね。ガマンできなくなって嫁をスイーツ探求の旅に誘ったけどにべもなく断られた。まさか嫁にまでデートお断りされる日がこようとは!! 連戦連敗じゃねーか最近の僕。しょーがないからジョア飲んでガマン。

■ 開高健『巷の美食家』
恐れ多すぎてモンブラン・マイスターシュテュックには手を出せない。開高健はそのくらい大好きな作家です。ページから料理の匂いが立ちこめてくる。めくるたびに腹が減る。誰も僕のことを知らない街で、逢魔が時、自分の影だけを相手に倒れるまで酒を飲みたくなる。チョコレートに関するエッセイも載ってて、開高氏いわくチョコレートは《辛酸をくぐりぬけた大の男のためのもの》だそうである。

 ……まーた食べたくなったよ濃厚なチョコレート。

菜の花や月は東に日は西に。

本日の陽気っぷりといったら!!

干したおふとんにダイブするとおひさまの匂いでいっぱい。

だけど、おひさまの匂いってどうやらダニの死骸の匂いらしいという情報を得てからは素直に喜べなくなった。

知らないほうが幸せなことってたくさんあるね。

今日の読了本はこちら。

■ 中野京子『怖い絵』『怖い絵2』
《名画にひそむ、心胆寒からしめる恐怖の物語。本書を読めば、絵画の見方が変わります。(Amazonより)》いやーこれ面白い!! がぜん絵画に興味出てきた!! 一見して「怖い」と思わせる絵だけでなく、「なんでこれが怖いのさ?」って絵もたくさん紹介されてます。だけど作品ごとにつけられた解説文読むとむちゃくちゃ納得。秀逸な歴史ミステリーです。雨の日に読むのオススメ。なんとなくだけど。

■ 開高健『オーパ!』
釣り好き文豪開高健氏の名著。これはもう好きすぎて過去に何回読んだかわかんない。少年の夢からオトナの男の夢まで、夢という夢が全部詰まってる。僕が死んだときは棺桶に入れて欲しい一冊です。読んでるうちに寝てしまえばアマゾンの夢見られるかも……なんて思ってましたけど、眼球ギンギンで結局最後まで読み切ってしまいました。

……釣りしてるときって最高にハッピーです。別に魚釣れなくてもまったく問題ない。一日ボケーッとロッド振って、おにぎり食べて麦茶飲んで日焼けしてもうそれだけで十分だ。こんなぜいたくはほかにない。星のダイヤも海に眠る真珠も大好きな釣りのよろこびほどきらめくはずないものきらめくはずな……パクったね。まるパクだね。あとね、夜が始まる瞬間を他人と共有するのも楽しい。「あ、いま夜になったね」と、同じタイミングで同じ事いうとものすごく友情が深まる。結構はっきり分かるよ、夜が始まる瞬間。

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そして写真は3年くらい前に僕が釣ったスズキ。デカさにビビって腰抜けそうになった。レインボーブリッジ下で会心の一撃だったよ。

取引先の担当者と一緒にいったんだけど、このときはお互いテンション上がりすぎて日本語しゃべれなくなってた。

新月の夜、真っ黒な海に突き出る防波堤から、見えない月に向かって雄叫びをあげたのもいい思い出。