株式投資で利益を得るには、まあだいたいふたつのやり方があります。
ひとつは100万円を200万円にするための戦術で、株券自体の値動きを追いながら短期間で売買を繰り返し、「昨日は10万負けたけど今日の前場で20万取り返した!」などとカジノ的な発想でダイナミックに利益を確保していく方法です。
この場合はとにかく値動きがすべてですから、銘柄選定をするときには投資先の安定性や将来性なんて一切考慮しません。
だから倒産寸前の会社に資金を投じることもあるし、むしろそういうケースこそがボロ儲けのチャンスとなる可能性大でしょう。
大きな利益を得られる反面、高値でつかんだ株券があっという間に紙くず……なんて恐れもあるハイリスクハイリターンなやり方だといえます。
もうひとつのやり方はといいますと、これは目先の値動きを考慮せず、購入した株券を長期ホールドして配当や株主優待でコツコツ利益を積み重ね、10年かけて100万円を110万円にするスタイルです。
このケースでは安定性や堅実性を最優先にして銘柄選定していきます。
間違いなく10年後も存続している、ということが投資判断の基準になるので、新興市場のIT株に手を出すなんてもってのほか。
あまり値上がりも値下がりもしないかわり、北の将軍様がぶっぱなしたミサイルが国土を焼いても決して紙くずにはならない、堅牢性だけが取り柄のクソ面白くない株を買いつつ、たまに振り込まれる十円単位の配当見てニヤニヤするのです。
しかし、この世の中には絶対安全と言い切れる投資などひとつもありません。
内紛やクーデターなどで国自体が潰れてしまったり、圧倒的なパラダイムシフトの発生、たとえば化石燃料に依存しない社会システムの構築だとか電気に変わるエネルギーの発見だとか、そんな事態が一夜にして企業の価値を変えてしまったり……などということもまぁ往々にして起きるんですね。
地デジ普及推進メインキャラクターの草なぎ剛さんは、まさに「値上がりも値下がりもしないかわりに間違いなく10年後も存続している」ことを買われての人選だったように思います。
目先の好感度レベルでいえば大した上下こそないものの、知名度と安定感、そして何より「キャンペーン終了まで絶対に問題を起こさないだろう」という信頼に裏打ちされての抜てきでしょう。
ところがこの絶対にしくじれない国策キャンペーンが、老後の資金を運用するようなガチガチの投資が、まさかの公然わいせつで終了!
誰も予見できなかったでしょ、こんなの。
あり得ないことが最悪のタイミングでおこってしまう。
だから投資は怖い!
たまに電話かけてくる先物取引の営業担当者が、「投資しないことがリスク」なんて戯れ言抜かすんですけど、そんな自信あるのになんでオマエはサラリーマンやってんだっつー話ですからね。
……しかし自業自得とはいえ、今この瞬間の草なぎさんの心中に思いを馳せると全身が粟立って仕方ない。
ベヘリットが泣き出すレベルの深い絶望だろなぁ、きっと。
まぁでも今回の件で草なぎ株、僕としては天井突き抜けてのストップ高ですけどね。
男前だ。