銀山。

 11月26日。
「宍道湖のシジミ漁を見にいく(キリッ)!」
 そう言ってすさまじく早起きし、いそいそとお出かけするお嫁さんに軽いイラつきを覚えながら僕も起床。
 いつもこれくらい早起きしてきちんと身だしなみを整えてくれればいいんですけどね。
 ビジホの朝食を食べたのち、まさに今この瞬間、日本全国津々浦々から八百万の神々が大集結している出雲大社へ。
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 昨日とは雰囲気が違う……気がする。
 改めて僕の邪な願い事を神前にぶちまけ、やたらと甘い物を食べたがるお嫁さんを巧みにいなしてから一路、2007年に世界遺産認定されたばかりの石見銀山を目指します。
 銀山といってもとっくの昔に廃鉱になってますからね、今はもう古い坑道やら朽ちた寺院やらしかないすげえ地味なスポットなんですよ。
 しかし石見銀山が世界史に与えた影響のデカさを知ると、俄然面白い!
 なので皆様も石見銀山いく機会ありましたら、ぜひガイドをつけたほうがいいっすね。
 ちなみに僕は地元観光協会が主催している無料のガイドツアーに参加。
 おかでさまで銀山の歴史を学べたほか、山師の神様に「いい鉱脈に行きあたりますように」と願掛けも行い、これでもかってくらいに世界遺産を満喫できましたよ。
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 銀山のネコちゃんは全体的に人なつっこい。
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 ──東京へと帰還するため空港に向かう途中、ちょこっと立ち寄った『道の駅キララ多伎』で日没の瞬間に遭遇。
 やっぱいいわ、日本海!

出会。

 11月25日。
 すさまじく早起きして朝風呂を浴びるお嫁さんに軽いイラつきを覚えながら僕も起床。
 いつもこれくらい早起きしてきちんと身だしなみを整えてくれればいいんですけどね。
 宿の朝食をしっかり食べたのち、出雲大社に向けて出発です。
 旧暦の10月は「神無月」とも呼ばれますが、これは日本におられます八百万の神々が10月になると出雲大社に全員集合してしまうため、ほかの国は神様不在の状態になる……という言い伝えにもとづいているそうです。
 だから逆に出雲周辺では旧暦10月のことを「神在月」って呼ぶそうですよ。
 で、今の時期の出雲大社はまさに八百万の神々が織りなすレイブ会場状態!
 ならばたった1度の参拝で八百万の効果を得られるのではないか。
 最近運気もアンダー気味だし、ここはいっちょしっかりお参りしておかねば。
 ──ということで出雲大社到着。
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 しめ縄すげえでかい。
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 国旗掲揚のポール、男塾の猛者でも持ち上げられないほどデカい。
 国旗も畳75枚分のビッグサイズ!
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 ひっそりと『さざれ石』もあるし。
 なんかすげえとこだな、出雲大社。
 通常、神社での参拝は「二拝二柏手一拝」が一般的あるのに対し、出雲大社では「二拝四柏手一拝」で行うようになっているため、僕も作法にのっとって邪な考えを神々にぶちまける。
 参拝後おみくじをひいたところ、大山でひいたおみくじとまったく同じ結果が出た。
 いわく「今やってる仕事をそのまま継続しなさい」だそうです。
 やっぱそうなんですかね?
 ちなみに出雲大社に祭られている大国主大神(だいこくさま)は縁結びの神様。
 日本最強神のスタンド能力、出会い系か。
 縁結び神社のシステムも、まんま出会い系だしなあ。
 そう考えるとだいこくさま、顔立ちがちょっと怖い。
 笑顔だけど目は笑ってない(気がする)。
 風神雷神が有する原始的暴力の怖さではなく、経済ヤクザと相対したときの背中に冷たいモノが走る感じに似ている。
 だからこそ信用できる気がしますけどね。
 いろいろ頼みますよホントに。
 ……そんなこんなで参拝を済ませ、さあ帰りましょうかという段になって、バスツアーのガイドさんが「今年、出雲大社に八百万の神々が集まるのは11月26日、つまり明日ですね」と説明しているのを聞いて愕然とする。
 うわしまった、前乗りしちゃってるじゃん僕たち!
 これはもう明日も出雲大社いくしかねえなと決意を新たにしつつ、名物の出雲そばをすすってから松江城に出発。
 途中でるるぶ山陰に掲載されていた『ケーキハウス・アガード』に立ち寄る。
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 とにかく安いしうまい。
 デパ地下や自由が丘でビッチ相手のボッタクリ商売やってるくされケーキ屋どもはもうちょと見習った方がいいよ。
 高くてもうまけりゃ文句いわないけど、高いくせにぱさぱさのスポンジ出して平気な顔する三流以下の店、いっぱいあるからね。
 とかいっているうちに松江城到着。
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 お堀の周りをコタツ装備した船で巡るツアーに参加。
 風情たっぷり&スリリングでめちゃめちゃ楽しかった。
 せっかくなので松江城天守閣にものぼる。
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 入場料550円で天下人の気分を味わえるのだから安いものだ。
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 日没近くなったのでシジミでおなじみの宍道湖へ移動し、サンセット鑑賞を試みるも厚い雲に阻まれてちょっと残念な結果に。
 お嫁さんの八つ当たりを我慢して乗り切る。
 本日は2名様1泊7000円弱のビジホ。
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 しかしご飯は地元屈指の名店との呼び声高い居酒屋『旬菜郷土料理・一隆』さんで。
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 ヒラマサ刺し&イカ刺し。
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 牛刺し。
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 シジミの漁師蒸し。
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 甘鯛の塩焼き。
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 のどぐろの塩焼き。
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 シメのおにぎりとカニ汁。
 店内のボードには料理の値段一切書かれてなかったからちょっと不安でしたが、たらふく食べて力いっぱい飲んでおひとり様6000円のハイパー良心価格。
 大将とおかみさんの人柄も温かく、また僕が言うのもアレですけどバイトさんの教育もきっちり行き届いてる感じで、ぜひまたいきたいと思わせてくれるたいへん素晴らしいお店でござんしたよ。
 秋〜冬の日本海、最高だねっ!

人外。

 11月24日。
 完全徹夜で一睡もしていないお嫁さんを引き連れ、山陰地方にいってきました。
 いや、今回はお嫁さん企画の旅なの「引き連れ」られたのは僕の方ですね。
 あまり気乗りしないまま島根県は出雲空港に降り立ち、レンタカー借りてまずは鳥取県の大川(だいせん)ってところまで。
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 ここはどうやら天狗の本拠地……的な場所らしいです。
 なぜわざわざそんな場所に行くのかと申しますと、これはうちのお嫁さんが他に類を見ない「人外萌え」であることに起因しております。
 人外萌えとはすなわち人間と人間以外の種族──吸血鬼とか魔神とか鬼とか妖怪とか──のカップリングに胸ときめく気質のことを指しており、懐かしいところだと『ときめきトゥナイト』『美女と野獣』、最近だと『魔人探偵脳噛ネウロ』『トワイライト』などの作品にツボってるご様子。
 なかでも近年、特にイチオシらしいのが『町でうわさの天狗の子』というマンガ。
 作品の世界観に萌えすぎるあまり、我慢できなくなって自分も現場にいきたくなっちゃったみたいなんですよね。
 言うなれば史跡巡りをするレキジョ……的な感じ?
 昔、藤井フミヤさんの大ファンだという女の子とつき合ってたことあるんだけど、そのこも年1回必ず藤井さんの生家を訪れ、何をするでもなくぼんやり外壁などを眺めて良い気持ちになるみたいなこといってたし、化粧品の販売店を営んで折られるB’z稲葉さんのご実家は聖地巡礼するファンのおかげで売上げ実績全国ナンバーワンとのエピソードを聞いたことあるから、女の子的にはごく普通の欲求なのかなあ。
 まあしかし正直なところ萌えの消化は自分ひとりでやってほしいといいますか、ぶっちゃけこれは無理やりコスプレにつき合わされるとか、前世ごっこの相手させられるのとなんら変わりねえじゃねえかと思うんだけどさ。
 ……いいんですけどね、別に。
 大山の神社仏閣などを巡り、邪な気持ち全開でお参りなどを済ませ、参道の茶屋でスイーツ(笑)を食べたりしているうちに僕も結構楽しくなってきましたしね。
 大川ツアーの次は、島根県に戻って紅葉の名所『由志園』を訪問。
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 小雨がぱらつくお天気ながらライトアップされた紅葉がひじょーに素晴らしかった!
 あとね、由志園いく際この坂を実際に見たんだけど、ホントに写真のままの姿だったので驚いた。
 ぜひ自転車で登ってみたいもんですな。
 初日の宿はおひとり様1泊2食つきで6800円という健康ランドに毛が生えたみたいな場所だったけど、けっこうご飯おいしかったし温泉付きだし、布団に入って0.6秒くらいで眠りの底に落ちてしまったしでかなり満足度高かった。
 山陰地方初日はそんな感じです。
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