破裂。

 深夜。
 ぷーぷー寝てたら何の前触れもなく「パァンッッッ!!!!」という破裂音が。
 狙撃されたのかと思って飛び起きたんだけど、幸いなことに着弾の痕跡無し。
 原因を特定するため部屋中を探索したところ、自転車の後輪がパンクしていることに気づく。
 どうやらチューブがバーストしちゃったようだ。
 クイック緩めてホイールを外し、タイヤとチューブを点検。
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 完全に裂けてるわ。
 しかしなぜ?
 空気入れてる最中にバーストするのならわかるけど……。
 たしか後輪のチューブは今年の1月4日に交換したんだよね。
 以来、2000キロ超走ってるし、ちょっとずつ劣化してたのがここに来て一気に裂けちゃったんでしょうか。
 となると、前輪のチューブも同じくらい使ってるしなんか不安だなあ。
 ということでバーストした後輪だけでなく、前輪のチューブも交換。
 いい機会なのでタイヤも新しいのに履きかえよう。
 ──今になって地味にビビってるんだけど、箱根でダウンヒルやってる最中にバーストしなくて本当によかったですよ。
時速50キロ以上出てる局面でいきなりチューブ裂けるなんてことがあると、相当な大事故に発展しちゃいますしね。
 いい感じで九死に一生です。

試走。

 GWの東海道走破に向けて詳細なプランを練るため、行程を4つに分けてみました。
 ■第1区間 日本橋–小田原–箱根峠–沼津(約131キロ)
 ■第2区間 沼津–夜泣石–浜名湖(約151キロ)
 ■第3区間 浜名湖–名古屋城(91キロ)
 ■第4区間 名古屋城–鈴鹿峠–京都・三条大橋(145キロ)
 それぞれの区間をどの程度の時間で走ることができるのかってのが問題で、それによって初日の宿を浜名湖にするのか、それとも名古屋にするのかも違ってくる。
 たぶんだけど、何度か走ったことあるルートを含む第一区間は休憩や諸々の補給などすべて含めて8時間かからずにいけそうな気がする。
 箱根越えも込みでの予想だ。
 天下の険とはいいつつも、距離にしてみれば15キロ程度だし、1時間あれば登りきっちゃうでしょうよ。
 しかも旧東海道を使うルートだと、斜度はキツくなるかわりに距離は10キロそこそこと大幅ディスカウントだしな。
 ……という机上の空論に確証を持たせるべく、ちょっと箱根を試走してきました。
 例によってガーミンにナビを頼み、朝9時に自宅を出発。
 ひたすら国道一号線を走り続け、あっという間に小田原周辺到着です。
 アベレージを見ると時速26キロ近い。
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 お腹すいたのでイートインできるお弁当屋さんに立ち寄り、和風ハンバーグ弁当を。
 これで580円。
 近所に欲しい名店でした。
 ついでに持参したあんパンもチャージし、箱根に向けて再びスタート。
 じりじりと標高上がっていく雰囲気がありながらもさほど苦にならず、箱根湯本駅手前の三枚橋まであっという間。
 今回は旧東海道ルートを選択したのでそのまま橋を渡り、コンビニであれこれ補給してからいよいよ登坂開始です。
 開幕早々きっつい坂が登場するけど立ち漕ぎで軽くいなす。
 ずーっと上りっぱなしなのかと思いきや意外と緩急ついてる感じで、結構走りやすい。
 あれー、こんなもんですか?
 これで10キロとか超楽勝なんですけどね。
 大したことねえな、箱根。
 ラストまでノンストップでいっちゃいますよ?
 で、20分後。
 側道に倒れ込み、ゲロ吐いてる僕の姿がありました。
 本当に吐いちゃった。
 ダウンヒルやってた人たち僕見て失笑。
 キツさの次元が違う!
 奥多摩が壁なら箱根は魔王ですよ。
 今すぐ引き返したい欲求に駆られ、引き返すための大義名分欲しいから「頼む! 雨降ってくれ! 今すぐに!」と心の中で何度も願をかける。
 もちろん降りません、そう都合良くは。
 なので引き続き登らざるを得ない。
 途中で「これより七曲がり 斜度10.1パーセント」というだからなんだよ余計なこと書かなくていいよとしか思えない看板が登場し、予告通りハードな九十九折りゾーンが出現。
 左曲がりのカーブだと、内側の斜度20パーセントくらいのところを走らなきゃいけない。
 自転車を漕ぐというよりは、ギリギリの負荷で挑む筋トレを長時間続けているような感覚に陥る。
 腹筋やってて「も、もう限界……」という地点からさらに1回頑張るときのつらさが永久に続く様を想像してみてくださいよ。
 ゲロ吐くのも仕方ないってもんですよ。
 結局、トータルで4回足も足を付いてしまい、それでもなんとか最高点に到達。
 つかの間のダウンヒル中、涙ボロボロ流しながら「もう二度とこないもう二度とこないもう二度とこないもう二度とこないもう二度とこないもう二度とこない」とつぶやきまくりでした。
 最後に補給したコンビニのところから、峠を越えるまで1時間15分くらいかかったよ。
 芦ノ湖について自転車おりた瞬間、両足の太ももがビックンビックンいいながらつってしまい、思わずその場にへたり込む。
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 だけど自宅を出てからここまで6時間20分。
 悪くない数字だと思う。
 そして芦ノ湖から三島まで標高差800メートル総長18キロを一気にダウンヒルして、三島から沼津までは緩い下りで約10キロ。
 おそらく1時間はかかるまい。
 ということは、日本橋から沼津まで7時間そこそこで到達できるのか。
 机上の空論を上回る好タイムじゃないか!
 深夜0時に日本橋を出ると、7時に沼津着。
 ご飯がてら30分休憩して、7時半に再スタート可能ってことっすね。
 いいじゃないかいいじゃないか。
 続く沼津–浜名湖の151キロを、アベレージ24程度で走れば休憩込みでも8時間くらい?
 遅くても16時には浜名湖着か。
 そこから名古屋城までの91キロをアベレージ20で走って休憩込みで6時間とすると、22時に到着する見込みだ。
 日付をまたぐラインギリギリなので宿の手配とか微妙っちゃー微妙だし、無難に考えれば初日は浜名湖で1泊するのが正解なんでしょうけどね。
 現状の思いつく問題点としては、まず箱根を登り切ったあとの回復について。
 これは三島までのダウンヒルで足休めてれば大丈夫かなあ……。
 そして箱根を超える時間帯、というのも懸案事項。
 街灯一切ないあの峠を、日の出前にひとりで走るのは怖すぎるよ。
 怖いと言えば、第2区間の夜泣石もヤバい。

箱根峠・鈴鹿峠とともに、東海道の三大難所と言われる、静岡県掛川市の小夜〔さよ〕の中山峠。この界隈で13c以前、通行中の妊婦が山賊に斬り殺されたらしく、但しお腹の中の赤ちゃんだけは助かり、そのまま生まれ出た。無念な母親は夜な夜な麦が原料の水飴を宿場で買い求め、その赤ちゃんを幽霊の身でありながら育てた。そのうち、村人が赤児の泣き声に気づいて、墓石代りの丸石の下を掘り返してみた所、腐乱し・白骨化した死体と、その胸で泣く子供の姿があった、――というもの。

 ここを夜に通過するのだけは絶対イヤだ。
 ──などということを気温4℃の芦ノ湖畔で缶コーヒー飲みながら考えたあとに帰路へ。
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 国道一号線をダウンヒルして、あっという間に箱根湯本駅到着。
 114.31キロメートル走って5140キロカロリー消費。
 輪行で帰宅し、その後友人と会う用事があったので再び自転車で外出。
 友人に「死人のような顔色してるね」と言われました。
 それくらいの疲労っぷりだったということですな、おほほ。
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