4月27日。
帰京に向けてあれこれと準備開始です。
自転車も丁寧に梱包。
いくら壊れているとはいえ雑な扱いはできません。
ひょっとすると、僕が考えている以上にカーボンフレームというものは頑丈で、自転車屋さんでチェックしてもらった結果「余裕でまだまだ乗れますよ!」なんてうれしいサプライズがあるかもしれないしね。
まあしかし痛い目に遭ったり悔しい思いをしたりと散々だったトライアスロンですが、正直な気持ちとしてはやはり出場してよかったです。
なぜそう思うのかについては、まあまた今度飲みながらでも。
月: 2010年4月
焼肉。
4月26日。
大会から一夜明け、使い果たした体内のエネルギーを補充すべく昼から焼肉!
場所はもちろん『たけさん亭』!
金に糸目をつけないオーダースタイルで欲望を満たしたあと、レンタカーでトライアスロンのバイクコースを走ってみた。
実にいいコース。
景色の移り変わりといいルートの起伏といい、毎日走りたいくらいだ。
盛夏のころは軽く死ねそうですけど。
──宿へ戻る途中、時期フレーム選定に向けて本屋でロードレーサーのインプレ本を購入。
世界中のありとあらゆるメーカーのフレームが網羅されているが、しかしどれもいまひとつピンとこない。
あれほど魅力的だったオルカもどこか輝きを失っているように思える。
僕は本当に、壊れてしまったあの自転車のことが好きだったんだなあ、と再確認。
一緒に日本海の夕日を眺めたことやきつい峠を足つかずに登り切ったことなどを思い出し、またまた泣いてしまいました。
だめだね自転車は。
心が通いすぎるもの。
悔泣。
4月25日。
大会当日。
案の定、まったく眠れませんでした。
ずーっと夢を見てるなあ僕という自覚があるまま時間が過ぎて、ふと気がつくと空が白んでた。
あんパン食べて迎えにきたワゴン車に自転車を積み込み会場へ。
最終受け付けを済ませてから、スイムの試泳などをのんびり見学。
そんなに緊張してないなあ僕と思った矢先、ブラスバンドがチューニングをはじめてバカでかいAの音が鳴り響いた瞬間嘔吐しそうになる。
なんせ僕は人生でスポーツの大会に参加した経験がない。
社会人になってからはもちろん、学生時代の部活動とも無縁だった。
はじめて経験するタイプの緊張感に身体がついていかず、ウド鈴木ばりにえずきまくってたら午前8時、競技開始!
世界中から集ったウエットスーツ着用の脳内麻薬ジャンキーどもが次々と海に飛び込む。
ペンギンの群れみたいだ。
僕はチームのスイム担当者が750メートル泳ぎ切ったのを確認してからタスキの受け渡し場所へ移動。
それから緊張MAXの状態で待つこと20分。
無事ゴールしたスイム担当者からタスキと計測チップ内蔵のアンクルバンドを受取り、トランジットエリアまで猛ダッシュ。
シューズを履いてヘルメットを被りいよいよ僕のターン開始だ。
最初から絞り尽くす勢いでペダルを回す。
先行していた人たちを次々抜いていく。
あれ、僕、結構速い!?
いや、緊張でわけわかんなくなってオーバーペースなだけかも……。
ガーミンを見ると心拍数いきなり170超えている。
まあいいや、バテるまではこのペースでいこう。
あっという間に10キロ地点通過。
平たん道オンリーだった市街地を抜けるといきなりアップダウンがきつくなる。
名蔵湾のデカい橋を渡り、そこからコースは山へと向かう。
周囲のペースが分かりやすく落ちてくる。
が、箱根や奥多摩に比べれば、こんなのは登っているうちに入らない。
全力でこぎ続け、エイドステーションも無視し、とにかく登って登って登りまくる。
が、ダンシングすると泣きたくなるくらい肩が痛い。
そのせいでどうしてもペースダウンしてしまう。
沿道にいる「ちょっと自転車を知っている風」の人が「はいはいっ、回して回して!」「踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで踏んで!」と応援してくれるのだが、残念なことに僕は心の中で「うるせえお前が回せよボケナスがっ!」とハコガクの荒北さん状態だった。
しかし長い登りの頂点で目の前にエメラルドグリーンの海が広がった瞬間、脳みそがじゅんと濡れて世界中にありがとうを言いたくなるから不思議なものだ。
長い下りをこなしたあとはゴールへ向けての平たん道。
ラスト5キロ、血と汗を絞りきる勢いでこぎ続け、そしてとうとうゴールラインに到達。
トランジットエリアの指定個所にバイクを置き、ヘルメットとシューズを脱いでからリレー地点まで猛ダッシュ、ラン担当者にタスキとアンクルバンドを渡して御役御免です。
自転車乗ってて40キロをこんなに長く感じたの、はじめてだった。
その後は水分補給してのんびり過ごし、ラストのゴールだけラン担当者と一緒に走ってチームとしても無事完走です。
──夜。
選手交流パーティーでリザルト発表されました。
リレー完走127組中、うちのチームは81位でした。
そして僕自身はバイク123人中39位という結果。
タイムは1時間24分37秒。
悔しすぎる。
なぜなら僕は70分台前半で走り、10位以内でのゴールを目標にしていたからだ。
体調&機材が万全なら達成できてた公算大というのがまたね。
つくづく運がないなあと思うし、またあり得ないタイミングで事故にあってしまう間の悪さが嫌になる。
とんだマヌケ野郎だぜ、僕は。
宿に帰って一杯だけビールを飲み、悔し泣きしてトライアスロン終了です。