土曜日。
友人宅で赤ちゃんを抱きしめてからサッカー観戦。そのあと男子二名で懐メロバーにて初夏のビール祭り。TMNかっこいい。Get WILD。僕的にEOSといえばカメラじゃなくてシンセ。そしてただいま山口百恵さん脳内無限ループ中。ア・ア・ア イミテイション・ゴールド〜。
日曜日。
ご近所のお友達と初夏の焼肉祭り。霜降りたっぷりのメタボ肉をかっ食らって小っ恥ずかしい童貞エピソードを披露しあう。穴があったら入りたいという入れたいというか、むやみに海綿体張らしまくってたころの馬鹿話。ベタなシモネタは対親族用。名古屋のおじちゃん&おばちゃん、北海道にお住まいのマキねーちゃん、お元気ですか?
せっかくなので僕の「後悔する童貞話」を披露するけど、あれは高校1年の梅雨明けくらいの時期かなあ。他校の女子に「夏休みキャンプにいかない?」って誘われてね。おぉみんなでワイワイ飯盒炊爨! そりゃ楽しそうだぜ是非参加したい! ところで他には誰が参加するのって聞いたら「いや、わたしとタイシのふたりで!」
……え、ふ、ふたりで? キャンプ? 僕と、君が?
「うん。だめ、かな?」
いや、駄目……ではないけど。そのなんというか、途中経過吹き飛びまくりというか、だって僕はキミと1回もデートしたことないし、いきなりそれはちょっとなんというか、えー、だって僕は男子でキミは女子だよ? ふたりでキャンプとかってちょっとあり得なくない? オトナかよ。うわどうしよう、きちんと飯盒でご飯炊けるかな。ジャストの分量でカレー作れるかな。しっかりテントはれるかな? あ、いや、もちろんシモネタ的な意味じゃなくて! なんでこんなときに母親の顔が浮かんでくるのだろう? 何、僕ってマザコンなわけ? そういえばRPMのRって「ロール」じゃなくてレボリューションなんだよな。レボリューション・パー・ミニッツ。くそっ、レボリューションってスペルなんだっけ。アールイービー……いやブイか。アールイーブイオーエル……
「どうする? いく? いかない?」
女の子の言葉でハッと我に返る。5秒くらい沈黙してトンチンカンなことばっか考えてた。パニックによる現実逃避。ノドからっからで心拍数190越え。手汗びっしょり。もう耐えられない。今すぐここから逃げたい。逃げてくっさい毛布にくるまりたい!
「うん、ごめん。興味ないわ」
声が裏返った。咳払いしてからもう一度。「実はキャンプに興味ないんだよね、僕。それに夏休みは高校生クイズ出るし。いろいろ忙しいから無理だよ」
女の子は「そう、わかった」とだけいってそれっきり。童貞の僕、空前絶後のラッキーチャンスを見逃し空振り三振で股間のバットを持て余す。ベタなシモネタは対親族用。大阪に嫁いだ妹のユウコちゃんとヒモなしバンジーから生還したマイちゃんには幸せになってもらいたい。
何が悲しいかって、お誘いを断って2日後くらいに「ぁぁぁぁ、なんてもったいないことを……」と気づいた僕は、しかし女の子に連絡をして「ごめんやっぱキャンプいきたい!」と告げる勇気もなく、ただただ夏休みのあいだ中、もう1回相手がお誘いかけてくれるのを待ち続けたことっすね。
家の電話がなるたびにすんげえ期待しまくってたなあ。
もちろんそんな受け身の姿勢をキープする16歳男子に度々ラッキーチャンスが舞い込むはずもなく、高校生活最初の夏休みは「いつも通り」進行。石場ダムで人生最大のブラックバスを釣ったあと高校生クイズは1問目で玉砕。それからコウジナ君と自転車で大分から広島までお好み焼きを食べにいったなあ。
で、あれから17年が過ぎた今。
相変わらずチャンスが舞い込むとテンパるし受け身だしデカいブラックバス釣りたいし自転車で深夜の国道をひた走りたいしと、童貞最後の夏休みを過ごしたときとなにひとつ変わってない自分が誇らしくもあるけど、もうちょっとだけスマートなオトナになりてえなと、決意を新たにした2010年6月21日です。
自転車に名前つけてる場合じゃねえぞ、と。
ってゆーか自転車乗ってる場合じゃねえぞ。免許取ってポルシェ買おうぜ、ポルシェ!
……という発想が冴えない男子っぷりを如実に表してるね。
まあなんか全体的にそんな感じです、はい。