関東近郊ではとっくに絶滅したものとばかり思っていた暴走族も、山梨あたりにいくとまだ現役で頑張ってるヤツがいるから驚く。オトナが昔を懐かしんでつるんでいる「旧車會」とは違う、中免とりたてとおぼしきピュアな暴走天使たちが少数ながら存在するのだ。
彼らと遭遇するのは大抵の場合、人里離れた山奥の峠道だ。どん百姓も寄りつかないようなへんぴなところで、きちんとヘルメットをかぶり、イノシシにでも聞かせるつもりなのかバリバリパラリラいわせながら2〜3台のさみしい編成でひっそり走っているのを目撃するたび、後継者不在で失われていく伝統芸能の行く末を案じるような、何とも言えない気分になる。
街中を走るとすぐ警察につかまってしまうし、住宅街で爆音ならすと近所の目がうるさいから、山奥の峠道で人に迷惑をかけないよう暴走行為に勤しんでいるのだろうと、思う。「できるだけ警察を避けて」「周囲に迷惑をかけないように」「交通ルールを守って」走る彼らはもやは暴走族ではないのかもしれないが、だからこそ僕はあえて彼らのことを暴走族と呼び、厳かに引き継がれていく昭和の心意気にエールを送りたい。
あと山奥で出会うプリウスは静穏すぎて怖い。カーブ曲がったらいきなり出現して肝を冷やしたこと数知れず、です。事故防止の観点からいくと暴走車両のほうが激しく自己主張してくれる分はるかに安心できるわん。