大男。

 世間の常識から大きく逸脱しているエキセントリックな女子とおつき合いしていたとき、夜、仕事が終わってからいつものように彼女のマンションへと向かったところ、彼女の部屋からスキンヘッドの大男が出てくるのを目撃した。
 目撃した、というか、スキンヘッドの大男と僕は玄関前で思いっきりすれ違ったんですけども。
 ビビりながらインターホン押してドア開けてもらったら、彼女が濡れた髪のバスローブ姿で出迎えてくれた。
 状況的にはででーん!マキちゃんアウト〜なんだけどしかし彼女はまったく慌てる様子もなく、逆に「あれ? 今スキンヘッドの人とすれ違わなかった?」などと言ってくるので僕はもう何がなんだかさっぱりわからずすっかりテンパっちゃって「う、うん、なんかちょっと怖そうな人とすれ違った……けど……」そう答えるのが精いっぱい。
 とりあえずシャワー借りて夕飯作ってもらってシーマン育ててセックスして寝て、以降、スキンヘッドの大男が僕らの話題に上ることは一切なかったんだけどもまあやっぱりあれはかなりアウトな局面だったなあと、10年以上の時を経て腑に落ちた感のある2011年7月22日でした。
 たまにあるよねこういうこと。