返却。

 東京地裁には日本国内の裁判所庁舎で唯一、入口に金属探知機とX線手荷物検査機が設置されております。弁護士さんいわく「オウム裁判きっかけに導入されたという説が濃厚」だそうです。フライデー事件以降、玄関口で自転車施錠してるだけでガードマンすっ飛んでくるくらい警備厳しくなった講談社みたいっすな。
 で、例えば僕が刃渡り30センチのサバイバルナイフを携帯して裁判所内への侵入を試みた場合、当然ですけど入口の各種検査機に引っかかってガードマンに取り押さえられる……のですが、これまた弁護士さん情報によると「ナイフは没収されるけど、とりあえず裁判所には入れてもらえる」んだって。さらに用事が終わって裁判所から帰るときにはサバイバルナイフ、きちんと返してくれるそうですよ。
 しょぼい刃渡りの十徳ナイフ所持してるだけで逮捕されるこんな世の中であるにもかかわらず、東京地裁はなんとも不思議な場所だなぁ〜って思いました。

泣寝。

 裁判所で尋問を受けた2012年7月11日。
 想像以上に無機質な雰囲気の法廷内部に威圧されるなか、初っぱな「絶対にウソをつきません!」って内容の宣誓書にサインして、それをデカい声で読み上げさせられた時点でいともたやすくに緊張の極地に到達。
 あくまでも事故の被害者として召喚されているにもかかわらず、相手側の弁護士に30分間ネチネチネチネチ責め立てられた結果、だんだん自分が悪いことをしでかしてこの場に連れてこられたような気になってしまった。
 一刻もはやくこの場から解放され、とっとと家に帰って大好きなくっさいふとんにくるまりたかった。
 精神的にコテンパンの大惨敗。
 もう絶対に交通事故はもちろん、人の迷惑をかけるような真似はすまい。
 清く正しく、静かに暮らしていこう。
 そのようなことを心に誓った次第です。
 しかし本来、人に迷惑をかけないようにしようとか清く正しく生きていこうなんてことは加害者が心に誓うことっすからね。
 なぜ被害者である僕が裁判通じて真人間になるこを誓うハメになっているのか……。
 現状の交通事故処理システムだと、事故後に生じる面倒の一切合切を被害者側が引き受けることになっているわけで、これはどう考えても不公平かつ理不尽!
 いじめられっ子よりもいじめっ子の人権を重んじる風潮と同じじゃねえか!
 泣き寝入りを強要するシステムがしっかりできあがってる!
 ヤラレ損にも程があるぞ!
 ──本来は今日で結審し、半月後に判決……みたいな予定だったんすけども、ギリギリになって裁判官が「もう少し確認したい書類がある」的なことを言いだした結果、8月末に結審、9月中旬判決にリスケされました。
 僕にとってプラスに作用する予定変更……だといいんすけどね。
 閉廷間際、相手側の弁護士が「こっちとしては譲歩する理由ないけど、そっちが希望するなら裁判所提示の条件で今すぐ和解してあげてもいいわよっ!」とツンデレなこと言ってたのが印象的でした。
 ……それと今回、実際に証言台にたってみて、羞恥心から性犯罪被害を告発しない女性の気持ちがちょっとだけ理解できました。
 衆人環視のもと、プレッシャーかけられた状態で被告側の弁護士から「ホントはアナタが誘ったんじゃないの?」なんて尋問されることに、とてもじゃないけど耐えられる気がしませんからね。
 セカンドレイプ、っつーだけのことはあるなぁ……。
 まあなんかそんな感じです。