犠牲。

 近所に「居酒屋的なワインバー」がオープンし、店頭に掲げてある本日のオススメ料理がいつもすげえうまそうなのでかなり気になっているんだけど、なかなか足を運ぶ機会がない。
 お嫁さんお酒飲まないから一緒にいってもちょっとアレな感じだし、ご近所すぎるのでギャルを呼ぶのもなんだかなあ……だし。
 じゃあひとりでいけよって話ですよね。
 わかったそうする。
 ついでに最近読んだ本を自転車縛りで紹介する。
■ 竹内真『自転車少年記』
 自転車を通じて知り合ったふたりの少年、昇平と草太の成長物語です。
 ようやく補助輪ナシで乗れるように4歳のころからスタートし、こっそり学区外で登坂練習したり海を見に行って帰れなくなったりという小学校ライフの時点ですでに涙目。
 で、中学高校大学と話は進み、恋をして童貞捨てて夢をかなえて挫折して、人生の深い森に迷い込んでしまった草太が音楽家志望の彼女と別れ、衝動的に東京から日本海まで自転車漕ぐシーンでどかんと大号泣です。
 ドラクエ5的な盛り上がりを見せる物語の終わり方もすがすがしくて気持ちよい。
 週末、お暇な方はぜひ。
■ 高千穂遙『ヒルクライマー』
 駅伝出場を拒否して陸上部退部=大学中退しちゃった19歳の元マラソンランナーと、たまたま見かけたヒルクライムレースがきっかけで自転車にどっぷりの45歳元メタボサラリーマンを軸にしつつ、多摩川サイクリングロードや奥多摩周辺の峠などをからめながら、ひたすら登坂しまくるお話し。
 ラスト1行のセリフは「あるあるw」って思った。
 どっちかというとロード乗ったことない人にオススメかもです。
■ 近藤史恵・菊池昭夫『サクリファイス(全3巻)』
 08年度本屋大賞第2位作品のコミカライズ。
 タイトルの『サクリファイス』は「犠牲」という意味だそうで。
 自転車ロードレースは個人競技でありつつも実際には団体競技としての側面が強く、エースとアシストの役割がものすごくはっきり分かれています。
 アシストはエースのため、ときにリタイア覚悟の無茶な走りをすることがあるし、エースはアシストの犠牲を踏み台にして、何が何でも勝利をつかみ取らなければならないという責任を背負っている。
 で、物語の主人公はアシスト担当の青年。
 徹底してエースのためだけに走り続けてきたんだけど、とあるレースで偶然が重なり「その気になれば自分が優勝を狙える」位置につけてしまう。
 アシストとしての役割をまっとうするか。
 それとも自分が勝つために走るのか。
 うぉぉ、超アツい!
 ちなみに物語は思わぬ方向に転がってミステリー色強くなります。
 原作も読んでみよう。
 自転車少年記(Amazon)
 ヒルクライマー(Amazon)
 サクリファイス 1巻 (Amazon)

「犠牲。」への2件のフィードバック

  1. おぉ笹原さんだ! すげえ!
    高千穂さんは50歳で自転車にハマり、毎日多摩川沿いを往復50キロ走っているそうです。その結果、食事制限ナシで体重84キロから60キロに、体脂肪率24パーセントから10パーセントに。高血圧と高血脂症も改善とのこと。この経験を活かして小説まで書いてるんですからなんとも無駄のない人生ですよねえ。SF作品とはまたひと味違った面白さがあると思いますのでぜひ手にとってみてくださいっ。

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